食生活は社会環境の変化に伴って数十年前と大きく変化している。その特徴は、外食産業の発達と加工食品の著しい普及である。このことは、食品加工技術上、流通上、様々な食品衛生上の工夫が講じられながら今日に至っている。食品分野をとりまく環境は、本年5月にガットウルグアイ・ラウンドの合意に見られるような急激な国際状況の変動、おびただしい科学技術の進歩、地方分権、PL法の施行など著しい変転をなし、新しい時代を迎えようとしている。一 方において豊かな社会を背景に健康と食生活に多くの人々の関心が向けられるようになり、とりわけ、食品に関係する化学物質、即ち、食品添加物、残留農薬、 容器・包装中の成分や汚染物質などに対し、単に検出されただけで過剰なまでの反応が見られるようにもなっている。このことは、この分野での研究開発が、実用面では企業の研究所主体、安全面では、情報と調査とも行政主体、また、一般調査研究は、国公立衛生試験研究所主体で行われてきた関係上、その科学が一般公開、交流する機会の乏しいまま今日に至ってきたため、すなわち情報が正しく伝わっていない要因が指摘される。このことは、関係科学者にとって不幸なことであった。食品分野の関連する科学は、この急激な社会状況の変化、著しい科学技術の進歩などに対して、有機的に連携し、的確に対応するために、専門的に科学的討議する場を必要としている。本学会は、これらのことから、食品に関係関与する化学物質を対象にして、その物理化学、規格、安全性、有用性などの食品衛生はもとより、開発、利用、規則などの色々な分野を含めた自然科学、社会科学への貢献を意図しており、これを学会設立の趣旨とする。 (1994年11月18日設立)
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学会設立後、会員の総意によって学術対象も変化することは勿論前提として、現在、本学会は食品に関連関与する化学物質に関 する自然科学的及び社会科学的知見の学術交流と論文誌の発行、併せて、必要あれば、セミナー、シンポジウムなどを開催致したい。具体的には、食品添加物、 残留農薬、食品用容器包装とその添加物、台所用洗剤、乳幼児用の玩具塗剤などの化学物質に関する科学的領域とする。
その研究、調査あるいは、論(哲学的、思想的論は含まない)の内容として、
1)上記化学物質の安全性、毒性、摂取量、栄養などの実証科学と評価科学、
2)有用性、実利性、使用法、製剤型、生産技術などの実用科学、
3)化学物質の性状、純度、分布、規格、分析技術などの科学一般、
4)法律、行政統計などの解説あるいは比較解析、その他食品に関連関与する化
学物質の調査、研究があり、これらを本学会の対象とする。
1.学術雑誌の刊行
名称:日本食品化学学会誌(日食化誌) ISSN 1341-2094 CODEN:NSKGF4
Japanese Journal of Food Chemistry and Safety (JJFCS)
学会誌は、編集委員会をおき、学術論文誌として編集する。内容は、 総論、論文(報文)、資料(会員に役立つ統計資料などの情報)、学会連絡事項を掲載する。総説、論文は、別に審査委員(レフリィー)を設け、審査を行って 掲載する。学会誌は、会員には、無償提供し、掲載にあたっては編集委員会が投稿依頼した場合を除き、総説、論文には印刷費、審査料などの実費を徴収する。(別途投稿規程を参照)
なお、本学会誌は単なる調査データ、あるいは研究結果がネガティブデータであっても、審査委員会が食品化学の発展あるいは会員の学術理解において科学性ありと判断した場合は掲載することを特色としたい。
2.学術大会
食品に関連関与する化学物質の化学、安全性、有用性、法律・行政・統計などに関する研究と調査のための大会。ポジティブデータは勿論、記録にとどめるべきネガティブデータを含む。
1. 食品添加物の化学全般に関する調査・研究
2. 食品添加物の有用性・安全性に関する調査・研究
3. 食品添加物の摂取量調査などの実態調査
4. 食品添加物の生産技術に関する調査・研究
5. 食品および食品添加物に関する規制あるいは行政に関する調査・研究
6. 食品の残留農薬の調査・研究
7. 食品用器具・容器包装に関する調査・研究
8. おもちゃの衛生に関する調査・研究
9. 食品用洗剤の衛生に関する調査・研究
10. その他
3.その他の事業
(1)食品化学シンポジウム、食品化学セミナーの開催
(2)研究業績に対する表彰
(日本食品化学学会奨励賞及び日本食品化学学会論文賞)